人の生き方は「一発屋」でよい
パーフェクトで理想的な人間など目指さなくてもよいと述べたが、完全無欠の人間でなければ人に好かれないかというと、そうではない。
ひとつの魅力をとことん磨けばよいのだ。
「これだけは人に絶対負けない!!」というものを徹底して磨くのである。
ひとつのことに関してはとことん完璧主義であってもよいのだ。
例えば、コンピューターに関しては誰にも負けないとか、ものまねには自信がある、元気さだけは社内一という風に”ウリ”をとことん磨き上げるのだ。
誰かに笑顔が素敵と言われた経験があるのなら、豊かな表情をウリにしよう。
それ以外のことには目を向けず、豊かな表情を磨くことだけを考えるのだ。
顔立ちに自信がなかったとしても、豊富な話題で勝負するのもよい。
自分の得意なことならとことん伸ばそうという気も起きやすいはずだ。
スポーツ心理学者であるチャールズ・A ・ガーフイールド氏は、1984年に『ピーク・パフオー
マンス』(邦訳ベースボール・マガジン社刊)を刊行した。
そこでガーフイールド氏は、「新しい能力を獲得するのではなく、すでにある能力を存分に発揮すべきだ」と述べている。
自分の短所ばかりに注目してはいけない。
長所に注目し、その分野で他の人を凌駕していけばよいのだ。
ダチョウ倶楽部は「リアクション芸」だけをとことん磨き抜いた。
ダチョウ倶楽部のメンバ-の話芸の才能は、失礼ではあるが、ほぼゼロである。
漫才やコントでも、大きな笑いを取ることはできない。
しかし、「リアクション芸」という一点においては超一流なのである。
有吉さんも、ダチョウ倶楽部のについて次のように話している。
浮き沈みの激しいテレビ業界で20年以上にわたってこれ一本(リアクション芸の事。)
で飯食っているのはあの人たちだけ。そのすごみはありますよ。
なんか大田区あたりの町工場みたいな感じでね。
細々とやっているけれど、その筋では超一流っていう。(笑)(BRUTUS」2011年7月1日号、38ページ)
まさにそのとおりで、私たちもダチョウ倶楽部のような生き方をすればいいのだ。
有吉さんも、最初のブレイクは「ヒッチハイク芸人」、次はあだなをつけるのが上手な「あだ名づけ芸人」だった。
長所といえるところを、これでは誰にも負けないというところまで伸ばせば、まわりの人もあなたを必要としてくれるだろう。
「あだ名づけの名人」のような、あなただけの必殺技をとことん磨け。