無謀な「高望み」はしない

人間関係において苦痛を感じる原因は、「期待」である。
間違った期待をするから、人間関係で苦痛を感じてしまうのだ。
例えば、「女性はみんな自分に好意を抱いてしまうはず」なんて考えてしまうのが、男の性というものではあるが、実際女性が全て好意を持ってくれるなどというようなことはない。
そのため、世の男たちは現実に打ちひしがれ、「俺の魅力に気づかないなんて見る目のない女ばっかりだ!!」なんて言い捨ててしまうのだ。
「自分の話にはみんなが興味津々で聞く耳を持ってくれるはず」などという過度な期待を持つから、相手がつまらなそうに聞いていると我慢ならなくなるのだ。
「私のことを好きなら、毎日100通はメールをくれるはず」などと思っているから、彼氏に対して日に日に不満を募らせてしまうのだ。
人間関係の苦痛とは、すべては「高望み」からくるものである。
したがって、初めから高望みなどしないことが一番の解決策なのだ。
人間関係など、ソツなくこなせれば花丸だと割り切ってしまえばいいのだ。
有吉さんは、次のように人間関係にも応用できそうなアドバイスをしている。
「もっといい暮らしがしたい」って思うからいけないんです。背伸びするからダメなんです。
自分の身の丈より一つ下の生活をするくらいでちょうどいい。無理しちゃダメなんです。
(「毒舌訳 哲学者の言葉』双葉社、39ぺ‐ジ)
有吉さんは、一貫して生き方に関して期待するなと述べているのだが、これは人間関係でも同じことが言えるだろう。
過度な期待をしてしまうことがダメなのである。
アメリカのノース・カロライナ大学のステファン・ウオーチェル氏は以下のような実験を行った。
「作業を終えたら素敵な品をあげます」とあらかじめ言っておいたにも関わらず、「賞品がなくなってしまい、あげられなくなりました」と、期待をさせておいてわざと裏切るというものだ。
当たり前であるが、期待を裏切られてしまった人は、強い怒りを感じたそうだ。
一方、初めに賞品を与えるということを告げられずに、作業が終わったところで、「本当は賞品を出す予定だったのですが、数が足りなくなってしまいました」と伝えられた人たちは、それほど怒りは感じなかったそうだ。
このように、人間の不満は間違った期待からくるのだ。
人間関係においても期待なんてはなからしないほうがよい。
人間関係において期待なんてしなければ、付き合いにくい人に出会っても、あまり苦痛を感じないで済む。
嫌な人に出会っても心を乱されないで済む。むしろ親切にしてくれる人に出会えたとき、「人間も
捨てたものじゃないな」という感慨を覚えることができるだろう。
人に期待しないでいれば、嫌な人や変な人に出会っても大丈夫である。