何回も言うことでウソは真実になる
「あなたのことが大好き」
「一番尊敬する人は先輩です」
「生まれ変わってもあなたの部下になりたい」
社交術では,微塵も思っていないことも平気で口にするのが当たり前。
「あなたの顔は生理的に受け付けない」「あなたの顔を見るだけで吐き気がする」など,たとえ本音であっても,相手を不愉快にさせることは言ってはならない。
そんなことを言った日には,どんなことが起こるかは火を見るよりも明らかだ。
心にも思っていないことを口にするということは,抵抗があってできないという人もいるだろう。
デタラメなことを言えば,相手に信頼されないとも思うかもしれない。
しかし,たとえどんなにデタラメなことでも,それを何回も何回も繰り返すことで,相手は「本当にそう思っているんだな」と感じさせることができるのだ。
「あなたのことが大好き」と一回言われただけでは「どうせ社交辞令で言っているのだ」と信用されないが,「あなたのことが好きなんです。本当に好きなんです。大好きなんです。」と繰り返し言われたらどうだろうか。
どんなに頑なな人でも,「あれ。本当に好きなのかな。」と信じてくれるようになるのだ。
このことを心理学用語で「幻想真実効果」という。
カナダのマクマスター大学のイアン・ベツグ氏は以下のようなことを研究により確認している。
初めて聞いたことは44%の人しか信用しない。
しかし,2回目では60%の人が信用するようになり,さらに回数を増やすことで信用する人も増加していくのだ。
「前にも一回聞いたことがある」という内容は,信憑性がとても高くなるのだ。
このように,たとえ微塵も思っていないことでも、何回も言うことで相手に信じてもらうこ
とは可能なのだ。
有吉さんはおそらく「幻想真実効果」という心理学用語などは知らないと思うが、それが正しいことを経験的に理解していると思う。
それがわかるのが有吉さんの以下の言葉だ。
ウソもつき続ければ、というか、つき通す事で、「本当」になります。
それはもうウソじゃなくて、本当なんです。
(「嫌われない毒舌のすすめ」KKベストセラーズ、70ページ)
大事なのは,たとえデタラメでも何回も何回も繰り返すことだ。
どんなに信用できないようなことでも,何回も繰り返し刷り込まれることで,人間は「これって本当なのかも・・・」と思ってしまうのだ。
相手の心を「ポジティブなデタラメ」でがっちり掴もう。