「ジコチュー」な人は支持されない
◎困っている人に気付く
「自分さえ良ければ他人は関係ない」という考えのもと行動する人のことを、「自己中心的」な人間と言います。
このような人の多くは、他人への配慮が足りないために嫌われます。「自己中心的な人が好き」というような人はいないのです。
アメリカのウェイク・フォレスト大学のマーク・レアリー氏が行った調査では、嫌われる人の第1位は「自己中心的な人」という結果が出ています。
自分のことだけ話し、他人の話は全く興味がないような人間は当然嫌われてしまうのです。
反対に魅力的な人は、人間はひとりでは生きていけないもので、支え合って生きていくということを知っていて、常に他人のことを気にかけ、困っている人がいればすぐに手を差し伸べることができます。
アメリカという国は、基本的には他の国のことは関係ないという考えをもつ人が多いお国柄です。
かつては「モンロー主義」という「他の国には干渉しないので、他の国もアメリカに干渉しないでくれ」という孤立政策をとっていたこともあります。
しかし、外交にも優れていたケネディ大統領は、他国との協調を重視しました。
フランクフルト演説では、ケネディはこのように述べています。
1848年、多くの国はフランクフルト国民議会の日標には無関心だった。そ
れはドイツの問題だ、と彼らは言った。今日では、ドイツだけの問題というも
のはない。またアメリカだけの問題というものもない。いや、欧州だけの問題
さえもない。あるのは世界の問題だ。 (「フランクフルト演説」1963年6月25日)
この演説からも、ケネディが他国との協調を重視していたことがわかります。
自己中心的な人は、人と支え合うということに無関心なため、こういった思考ができないのです。
◎合理的な行動は損を招く
経済学の理論に「合成の誤謬」という理論があります、これは、「各経済主体の利益を最大化するような行動が、マクロ経済では利益を減少させてしまう」という理論です。
簡単に言うと、同僚が困っていたときに、その人を無視し放っておくと個人としては、自分の仕事に支障がないため利益を最大化できます。
しかし、その人に誰も手を差し伸べずにいると、結果的には、その部署の仕事量は落ちてしまい、会社全体の業績も悪化してしまう。悪ければ倒産ということになってしまうかもしれません。
このうように、小さな視点で見れば困っている人にかまわないほうが得に見えますが、マクロ視点では損していることを「合成の誤謬」というのです。
自己中心的な人は、「自分が楽ならそれでいいし、そのほうが合理的だ」と考えがちですが、それは大きな間違いなのです。
また、企業が自分の会社の存続ののみを考えリストラをすると、会社の利益は増えるように見えますが、多くの企業がそのようにした結果、社会全体としてはマイナスとなってしまいます。
自己中心的な考えというのは、かえって身を滅ぼしてしまう可能性があるのです。
かくいう私も、かつてはとても打算的な人間でしたが、「情けは人のためならず」という考えをもつようになってからは、自己中心的な部分が大分改善しました。
もし、自分の自己中心的な部分を改善したいのであれば、「結局はそのほうが得なのだ」という意識をもつようにすると上手くいきます。
はらいかわてつや